HOME > ライバル紹介 > 36_FZS1000 峠全開走行 2005.11.05
あらすじ
最近、峠を走るのが純粋に楽しい。銀翼もソコソコ楽しいのだが、やはりミッションバイクに興味が出てきたのである。リッターバイクで峠を走るとどんな感じなのだろうか?前回、高速全開試走をさせて頂いたKARZさんに相談してみたところ、当方の銀翼にも興味があるということで、快くOKを頂いた。
町乗り
走るとすれば、当然私のメインステージ?の五色台である。最初は、峠だけと考えていた。しかし、もしこの手のバイクを購入した際は、町を移動する必要がある。ですので、町で交代してもらった。
発進時のアクセルワークが、なかなか難しい。アイドリングが約1000回転。静かにクラッチミートするには1500から2000回転を任意にキープする必要がある。発進時の微小回転キープが私にはできないのである。結構悔しい。昔は、ミッションに乗っていたのに、こんなにヘタクソになってしまったようだ。但し、久しぶりのミッションでも体がクラッチワークを覚えているので、走行自体はナントカ可能。
信号待ちの際、KARZさんにクラッチワークは奥が深いと話す。実は、FZSは発進時の操作が難しい部類のバイクだそうで、持ち主のKARZさんもあまり気にせずブワーッと発進するらしい。発進が難しい理由は、ハイギヤードであることと、エンジン自体のレスポンスがいいせいであるからのようだ。 車の話だが、フライホィールを軽量なものに交換すると、劇的にタコメーターの動きがすばやくなる。利点は、変速時の回転あわせが瞬時におこなえるので、シフトが早くおこなえるのである。但し、発進時にエンジンのレスポンスが過敏になり、エンストに対する粘りが少なくなる弱点がある。車のときは、クラッチワークに非常に苦労した記憶がある。まあ、そういう勝手な経験から、このバイクは発進のしやすさを多少犠牲にして、スポーツ走行でのシフトチェンジを重視していると考えた。
イロイロ試してみるのは嫌いではない。確かに難しいが、イロイロやっているとちょっとづつうまく走れてくる。そこが、楽しい。試しに信号待ちでアクセル開度と回転数をチェックしてみた。アイドリング+1000回転を制御したいと思えば、アクセルではたった1ミリ程度の動きだった。アクセルの感覚をかなり鋭くしないと、ちゃんと制御するのは難しいようだ。個人的には、アイドリング付近だけちょっとダルくしてほしいかも(笑)
スリヌケは、慣れていないので自粛した。ただ、このバイクは軽いので慣れるとスイスイいけそうである。
峠
五色台のコースは、二つに分かれる。一つは、旧有料道路のスカイライン。道幅が広く、高速コーナーが沢山ある。二つ目は、旧道。こちらはブラインドコーナーが多く、180度ターンなどテクニカルなコースになっている。まず、苦手と思われる旧道を走ってみることにした。
タイトターンが難しい。どうやれば、どのように曲がるかなかなか判らない。こればっかりは、8の字で練習して、マシンの特性を身に覚えるしかない。練習したくなる(笑) 銀翼のようにケツを動かさず、どっしりとは曲がってくれない。ほんのちょっと体をずらしてバイクが曲がりやすいようにする必要がある。体をずらそうと思えば、ニーグリップや片足加重など、かなり激しい運動が必要である。難しいが、うまくいったときの一体感が楽しい。
特に進入が難しい。進入前に沢山やることがある。
減速しながら、コーナーを予測して、あらかじめシフトダウンしておく必要がある。体重移動の準備もする必要がある。銀翼に乗って長いせいか、シフトダウンせず突っ込んでしまい、あわててシフトダウンすることが何度かあった。シフトダウンもヘタクソなので、思い通り制御できない。このあたりの組み合わせや体の動かし方は、まさにスポーツだ。
体をしっかり車体に固定する為に、皮系のズボンが欲しい。タンクのいいところに出っ張りが有ることに気が付いた。その出っ張りに下半身が引っかかり乗りやすい。タンクの形は気に入った。シートは、Karzさんがアンコヌキされているので、後ろ側に座りにくい形状になっている。但し、町乗りでは足つきの良さの安心感があった。このへんは、難しいところである。
コーナーは攻めず(笑)、立ち上がり加速を楽しんだ。全開をすると空を飛ぶような加速が延々と続くのが気持ちがいい。上級者の人は、1000だと全開できず、600ぐらいのパワーがあれば十分で楽しいという。600で走ったことがないので比較できないが、私は1000ccもOKと思う。立ち上がりの加速はとにかく気持ちがいい。
メーターを見てみた。ビビリミッター作動で、短い直線は銀翼と同じぐらいの100−80キロで走っている。コーナー速度や巡航速度は銀翼と同じ程度で走っていた。勿論、立ち上がりは全開加速。まさに瞬間的に120キロまで加速する。銀翼であれば長い直線でやっと120かなというところを、立ち上がりのすぐで120キロぐらい出ているのである。
銀翼の場合、ブレーキングが終わってから、リヤにトラクションをかけながら旋回していくのが比較的簡単にできる。FZSでは、残念ながら、今の私の腕では、トラクションをかけながら旋回することができない。特にミッション系の操作がなれていないせいもある。もっと走りこんで操ることができるようになれば、絶対楽しそうだ。
高速コース
やはり立ち上がりの強烈な加速が楽しい。普通のバイクなら間延びする時間が一瞬で終わる。
コーナー速度は、私が乗っている限り、基本的に銀翼と同じかそれ以下かもしれない。FZSにはもっとポテンシャルがあると思うが、生かしきれない。私は、コーナーではあまり攻めない。いかに立ち上がりでおいしい場所に車体を持っていけるかにチャレンジするコーナーへのアプローチが好きだ。コーナー出口にいい感じで車体を持っていき、見え始めた直線で一気に全開する。FZS1000は、直線がむっちゃ気持ちがいいので痛快である。
やっぱり、スピード狂だなぁ・・
ただ、安全と思っていた直線で、飛び出しなど不意のトラブルがあったとき、この速度域では命の危険がある。ブレーキ能力はかなり優秀なのだが、人間が反応できない速度だし、なにより物理的な減速の限界がある。 直線で全開を楽しみ事は、コーナーで攻めるよりは負ける確率の少ない楽しいバクチである。しかし、基本的には命を掛け金に出しており、負けたときには自分の命という大金を支払う義務があることを忘れたらいけないだろう。その、真剣を振り回すような本気のスリルがこのバイクを一層楽しいものにしている。楽しむのはいいが、飲み込まれないようにしないといけないだろうね・・。
車体紹介
KARZさんは、私と違って丁寧にバイクを扱われている。まるで、新車みたいである。
シートアンコヌキ以外はノーマル。足つきは良好だし、サイドスタンドを引き起こすのもムッチャ軽い。
アフリカツインと同じ重さなんだけど・・・全然体感の重量が違う。これは不思議。
右ステップ
ミッションにあまり乗っていないので、細かく判らない。ただ、いい形をしていて、違和感なくしっかり体が固定できた。普通のバイクだとちょっと変だなって感じるところがある。FZSにはそれが無く自然に乗れた。
高くていいタイヤを奮発して入れたばかり。おいしいところをご馳走さまでした。
左ステップ
ちゃんと、センタースタンドが付いていたりします。立ててみましたが、楽勝であがりました。とにかく軽いです。
リヤのサスの動きは、かなりしなやか。信号待ちでお尻に微妙に体重をかけると、微妙なコシを保ちつつ、しなやかに動きます。安心して全開立ち上がり加速できるのも足回りのせいかもしれませんね。
暖房付きエンジン。
20度前後なら、大丈夫。
夏は、覚悟すること。
お気に入りのタンクとシート周り。
タンクの微妙なふくらみがピタっとくる。
シートは、アンコヌキするとかなり足つきがいい。銀翼並み。足バックもOK。車体が軽いので、停車時の取り回しは、かなりずぼらが効く。
アナログ式もいいですね。
ブレーキはリニアに良く効きます。これぐらいしっかりしていれば、ノーマルでOK
風除けは社外品。
ハンドルは、結構UPポジション。
町乗りでは、我慢できる程度の高さ。パイプハンドルなので、高さは調整しやすい。
シート下収納
ちょっとした小物が入ります。
総括
いいところ
・とにかく痛快な加速。地上最強クラスの強力で息の長い加速が峠で味わえます。あっというまに120キロです。
・高速だけかなと思いましたが、軽くアップ気味のポジションで峠も楽しい。但し、乗りこなすには鍛錬が必要。スポーツで硬派な世界が広がります。たるんだ体を引き締めるにはちょうどいいかもしれません。
・取り回しに関して、軽量さがかなりうれしい。大排気量のツアラー系で重たいのにうんざりしている人、重さであきらめた人には、すごくオススメです。
・ポジションが楽でありながら、峠も攻めやすいポジション。ある意味中途半端ですが、町を抜けて峠をカットブスタイルのツーリングにはピッタリです。
・安全なところで簡単に追い越しできます。立ち上がり重視で走るので、コーナーで無理する理由も少なくなります。中途半端な小排気量より安全に早く移動できます。
・センタースタンドが付いているので、メンテもOK
悪いところ
・全開にしたときに計測されると、免許が終わります。安全なところでかっとびましょう。
・タイヤ代は覚悟してください
・夏、灼熱。熱くて疲れます。時々日陰で休憩してください(笑)
・低回転域でのレスポンスが良すぎて、操作がちょっと神経質。鍛錬でなんとかなるかも。
・130万ですので、それなりの価格。
FZSに乗ってから銀翼に乗った感想。
峠の茶屋でお別れして、当然銀翼でかっとびました(笑)
銀翼は、改めて乗りやすいと感じました。特にコーナーアプローチでミッション&クラッチコントロールを考えなくていいのがすごく楽です。進入に専念できるので狙ったところを走りやすい。直線速度は当然負けますが、私のレベルではコーナーばかりだと、銀翼のほうが早くキレイに走れます。あとは、一体感を得やすいですね。FZSを練習して、狙ったところを走れるよう乗りこなしてみたいとムズムズしてきました(笑) 銀翼では50センチぐらいの精度でラインコントロールできるんですが、FZSでは1mぐらいなんです。
意外だったのが、FZSから銀翼に乗り換えても、銀翼が結構面白いことでした。FZSでは当然ステップをしっかり踏む必要があり、片足で体全体を支えるような感触で動く必要があります。その下半身重視の感覚で銀翼に乗ると、これが意外といけるんです。銀翼もバイクとおんなじで下半身が大切なんだと実感しました。足を真下に下ろすポジションです。
ショートツーリング程度の距離を乗せていただきました。大変ありがたいことです。コレぐらい乗ると、鈍感な私でもおぼろげながらバイクのイメージが沸いてきます。試乗会など、短い試乗でわかることは、バイクのほんの一部のことのようです。峠を走ると見えてくることなど一杯あります。やっぱり、最後は購入して、トコトン走ってみないとわからないのかもしれません。試乗会の短い印象だけで判断するのは危険だと反省しました。バイクのインプレに関しては、自分の走りたいステージでどのような感触なのかをしっかりと見極めた方がいいと思います。
関係ないこと
改めて思ったのがミッションの難しさです。ワインディングの楽しさは、スキーに似ているような気がします。(スキーはヘタですが面白さは体感しました)バイクは、上りもグイグイ加速するのでリフトに乗る必要もない、超極楽なスキーといった感じでしょうか・・
大排気量のバイクになると、まさに自由自在にスピードを調整でき非常に楽しい!ただし、残念なことに、非常にミッション動作がむずかしい。ミッション自体を操る楽しみも確かに存在します。しかし、スキーの様な思い通りにラインを描く走りの楽しさと、ミッションは直接には関係ないと私は考えています。適当な変速機構が無いから仕方なくクラッチ付のミッションを使いこなしていると思うのです。
モーターショーでDN-01が発表されました。待望の画期的なATを搭載しています。残念ながら、乗車姿勢がアメリカン形状でした。ソコソコ楽しめそうなので狙ってはいますが、やはり普通のスポーツできる乗車姿勢のバイクのATに乗ってみたい。FJR ASには自動シフトが搭載されてました。でも・・高額で重量級ですので庶民には乗れません。
私としては、軽く普通の乗車姿勢のバイク形状に高機能なATを積載して欲しい。絶対峠が楽しいと思います。DN-01にしろ、E4-01にしろ、FJRにしろ、どうしても高機能、高額、重量系になるのがちょいと寂しく感じます。 このご時世なので、難しいと思いますが・・・。ぜひ新ATでシンプルに峠を走り抜けられる、安くて楽しいのを出して欲しいと切望します。旧車種の使いまわしでもいいですので、とにかくワインディングをお気軽に痛快に走れるバイクを出して欲しいです。70万以下ぐらいで・・。そういえば、ATの条件を外せば400モタードが近いんです。いま、興味があるのは400モタードだったりします。うむむ・・・まだまだバイクも楽しいです。
ってことで、長々とありがとうございました。KARZさんありがとうございました。バイク乗りの皆さん事故には十分気をつけてくださいね。