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097.ヒトゲノムを解読した男を読んだ 2009.02.23


ヒトゲノムを解読した男 グレイグ・ベンター自伝
を読みました

500pあり、厚さが4センチあります。 なかなか読み応えがありました

あまりうまく書けないので箇条書きに

1.コンピューターの進化
遺伝子の解析方法について、かなり突っ込んだことも書かれております。残念ながら、あまりよく理解できませんでした。
まあ、どうでも良いから流し読みしていたわけですが・・

遺伝子は、最小の小さい部品なら解読できるようなのです。しかし、遺伝子となると巨大で読み取れないようです
精製された素材を酵素や振動などである程度の大きさに分解して、おおまかに分けます。
そのある程度の塊を粉々に分解します。その小さなパーツをすべてスキャニング。
遺伝子の部品のつながり方には、特定の法則があるようです。
ここでコンピューターの力を用い、総当りで組み合わせを試していくと、組み立てられる・・
ただし、ただ単に総当りしていくと、1万*1万など、最新のコンピューターでもとんでもない時間がかかる。
そこで、遺伝子の特性や、コンピューターのセッティングなど、いろいろな工夫が必要だったようです

面白いなと思ったのが、総当り方式のコンピューターの計算方法。これまでの常識で計算できなかったものが計算できてしまう。
たとえば、バイクでセッティングを出すと仮定します。前サス、Rサス、空気圧などの沢山の要素があります
コンピューターで走行状態をシミュレートできるならば、総当りで計算すれば、なにかしらほしい情報が手に入るかもしれません。
でも、ただ単に総当りすると意味がないので、この特殊な計算に経験などのエッセンスが必要でしょう。

この途方もない計算能力を活用できると、今まで出来なかったことが出来るようになるかもしれません
活用するのは難しい。ただ、こういう方法が使える時代なんだなという、一つのヒントとなりました


2.科学のドロドロの裏側
最後は、かなり力押しの設備で一気に解析してあります。ビルを数軒建ててやってますので、規模が桁ちがいです。
そこには途方もないお金が必要でした。 
正規の研究の方法としては、国の機関に申請して認めてもらえれば、お金が得られるそうです。
残念ながら、申請などあれこれややこしいようです。ほかの研究している人もお金がほしいですから、取り合いになります。
ベンターは、いざこざに疲れ、企業と手を組みます。しかし、そこでも利益中心の企業との駆け引きに苦労しています。
単にアタマがいいだけじゃダメで、政治的な部分や、交渉の部分が必要なようです

3.アメリカってすごい
解析が終わった今、次は生命体を作る方向で活動しているようです
現在では、遺伝子をある程度組めるらしく、そのなかに自分のメンバーの名前を書き込んだりしているようです。
二酸化炭素を吸収する生物や、欲しい素材を作り出す生物を生み出せば、すごいことになるかもしれません。
何かすごい時代です 当然、絶滅した病原菌を再生することも可能。怖い部分があります。
すでに組み上げた生命を作っているとか・・。
アメリカの途方もない資金と優秀な人間の規模に驚きます。
素人目には、もう追いつけないのでは?って感じます(日本はどうなのでしょうか?日本の人の本も読んでみたいところ)

でも、すべての領域で制覇しているかというと、そうでもなく、自動車では日本の企業ががんばっていたりします。
この辺が不思議な感じがあります

4.動機
ベンター氏の強烈な動機は、ベトナム戦争の経験にあるようです。衛生兵で過酷な状況を体験している。
戦争での無意味さを体感し、なにか人を助けることをしたいと感じ、強烈に生きているようです
遺伝子を研究していたのも、遺伝子が解明されれば病気で困っているヒトを助けることが出来るという考えからです。

自分はどうかというと、のほほんと生きています。
何かを成すような強いエネルギーを得るには、気が狂うような強いショックがないとダメなのかもしれません
エネルギー保存の法則のように、
だから、無からは強烈な力が生まれてくることは無いのでは?

何か成すというのはステキなんですが、
できれば、そういう強烈なショックってのも、しんどすぎるから、できたらご遠慮したいかなと(笑)
平凡ってのは不幸だというイメージがありますが、別の意味で、イイコトなのかもしれません

読み物として、面白い一冊でした

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